馬調教師:角居勝彦

角居勝彦(すみい・かつひこ)氏は、日本中央競馬会(JRA)で長年にわたり活躍し、数多くの名馬を育て上げた伝説的な元調教師です。1964年、石川県に生まれ、競馬とは縁のない家庭で育ちながらも馬に魅せられ、その情熱を糧に競馬界に飛び込みました。1986年に厩務員としてキャリアをスタートさせ、1997年には調教助手を経て、2000年に調教師免許を取得。2001年に自身の厩舎を開業し、以来、約20年にわたり一線で活躍しました。

角居氏の名を不動のものにしたのは、ウオッカ、ヴィクトワールピサ、シーザリオ、デルタブルース、エピファネイアといった、日本競馬の歴史に名を残す名馬たちとの歩みです。とりわけ、ウオッカで牝馬として64年ぶりに日本ダービーを制覇し、ヴィクトワールピサでは日本調教馬として初めてドバイワールドカップを制した快挙は、多くのファンに感動を与えました。角居厩舎は常に「馬本位」の調教方針を掲げ、馬の個性とコンディションに寄り添う姿勢が高く評価されてきました。

2021年、角居氏は56歳で調教師を引退。その後は、石川県珠洲市に拠点を移し、引退馬と人との新たな関係づくりを目指す「みんなのウマ」プロジェクトを始動しました。競走馬としての役目を終えた馬たちに、第二の人生を用意することはもちろん、地域の子どもたちや高齢者、観光客などが馬と触れ合う場を提供し、命の尊さや癒しの力を広める活動を展開。2024年1月の能登半島地震、2024年9月に甚大な被害を受けながらも、馬たちの命を守り抜き、復興とプロジェクトの再開に尽力しています。

調教師としての栄光に満ちた経歴を経て、角居勝彦氏はいま、馬と人が共に生きる未来を見つめながら、静かに、しかし確かな歩みを続けています。

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